FAQ
ここに並んでいる質問は、作者が examples を書いたり適合性テストのハーネスを実行したりする過程で実際に詰まったものです。FAQ の体裁を整えるために足した項目はありません。同じところで詰まった場合、ここに書いてある方法が本プロジェクトで実際に使っている方法です。
- セットアップと基本必須オプション、マウント先、Issuer 正規化、最小構成
- FAPI 2.0Baseline と Message Signing、DPoP / mTLS の選択
- トークンとローテーションリフレッシュ rotation の grace、
offline_access、TTL 分離 - DPoP と送信者制約DPoP nonce の配布、対応アルゴリズムの絞り込み理由
- ストレージ既存 users テーブルの扱い、アダプタ選択、composite の制約
- UI と SPASPA 連携(React / Vue / Svelte / …)、CORS、同意画面のカスタム
- 認証と MFAパスワード / TOTP / passkey、step-up、リスクベース
- ログアウトFront-Channel を持たない理由、Back-Channel fan-out のギャップ
- ネイティブアプリとループバック
127.0.0.1redirect_uri のオプトイン - 観測性
/metricsを自動マウントしない理由、監査イベントカタログ - 適合性とバージョンREVIEW の意味、認証の称し方、更新時の安定性
- よくあるエラー
redirect_uri不一致、alg not allowed、jkt mismatch - 採用判断本番投入の可否、セキュリティ報告の経路
セットアップと基本
op.New(...) がエラーを返すのはなぜ?
中心的なオプションには「安全な既定値」が存在しないためです。ゼロ値で黙って動くのではなく、op.New は構築時にエラーを返して止めます。WithIssuer、WithStore、WithKeyset は常に必須で、WithCookieKeys は authorization-code grant を有効にする場合(既定の grant セットを含む)に必須です:
| オプション | これが無いと |
|---|---|
WithIssuer | OP が署名 / 名前空間に使う識別子が無い |
WithStore | clients / codes / tokens の永続化先が無い |
WithKeyset | ID トークンに署名できない |
WithCookieKeys | ブラウザの認可フローで使う session / CSRF cookie を封緘できない |
エラーは欠けた項目名を明示するので、起動時のタイポは「実行時の謎」ではなくビルド時エラーになります。
推奨パターン
32 バイトの cookie 鍵を環境ごとに 1 度 crypto/rand で生成し、config / シークレットマネージャー経由で渡してください。標準的な 30 行のセットアップは examples/01-minimal/main.go を参照。
OP はどこにマウントすればいい? prefix を変えても大丈夫?
http.Handler をマウントしたパスにそのまま乗ります。既定のマウントプリフィックスは /oidc で、ルートに置きたい場合は op.WithMountPrefix("/")、/auth に動かしたい場合は op.WithMountPrefix("/auth") を渡します。Discovery 文書には設定された issuer + マウント prefix が埋め込まれるので、RP からは一貫した URL として見えます。
最小構成は?
st := inmem.New()
handler, err := op.New(
op.WithIssuer("https://op.example.com"),
op.WithStore(st),
op.WithKeyset(myKeyset),
op.WithCookieKeys(cookieKey), // 32 バイト
op.WithLoginFlow(op.LoginFlow{
Primary: op.PrimaryPassword{Store: st.UserPasswords()},
}),
)これは通常のブラウザフローの最小形です。常時必須の 3 オプションに、authorization-code grant 用の cookie 鍵を足しています。詳細は 最小構成 OP。
「Issuer の末尾にスラッシュは禁止」って本当?
本当です。RFC 9207 のミックスアップ防御はエコシステム全体での iss のバイト一致比較に依存しているので、op.WithIssuer は単一の正規形を強制します。次は全部弾きます:
- 末尾スラッシュ(
https://op/→ 不可) - scheme の大文字混在(
HTTPS://op→ 不可) - host の大文字混在(
https://OP.example.com→ 不可) - 既定ポート(
https://op:443→ 不可、http://127.0.0.1:80→ 不可) - fragment(
https://op#x→ 不可) - query(
https://op?x=1→ 不可) - 非正規 path(
..、.、重複スラッシュ —path.Cleanで判定)
なぜこんなに厳しいの?
RP の検証側でも、片側に正規形でない 1 文字が紛れただけでバイト一致が崩れ、ミックスアップ防御が静かに無効化されます。本番に届く前に構築時エラーとして弾くために、構築時に厳しめに正規化しています。詳細は 設計判断 §9。
FAPI 2.0
op.WithProfile(profile.FAPI2Baseline) で具体的に何が ON になる?
1 行で、仕様が要求する 6 つのスイッチがまとめて入ります:
| スイッチ | 効果 |
|---|---|
| feature 有効化 | feature.PAR と feature.JAR を ON。feature.MTLS が明示されていなければ feature.DPoP を既定選択 |
| クライアント認証 | token_endpoint_auth_methods_supported を private_key_jwt に絞り込み |
| alg 制約 | 署名 alg を FAPI 部分集合にロック |
redirect_uri | 完全一致を強制(ワイルドカード不可) |
| PKCE | すべての code 要求で必須 |
state / nonce | すべての authorize 要求でいずれか必須 |
プロファイル指定後にこれらと矛盾するオプションを重ねると、op.New がエラーを返します。
プロファイルは意図的に剛直にしてあります。黙って緩めると、FAPI 2.0 を選んだことで得られる監査上の保証が崩れるためです。
Baseline と Message Signing — どちらが必要?
Message Signing は Baseline に JARM を加えたものです。authorize 要求と応答そのものについて 非否認性(non-repudiation)が必要なら Message Signing を選びます。オープンバンキングのような監査連鎖が典型例です。それ以外は Baseline で足ります。
| Baseline | Message Signing |
|---|---|
| PAR + JAR + PKCE + DPoP / mTLS | + JARM(署名付き authorization 応答) |
DPoP なしで FAPI 2.0 に対応できる?
可能です。feature.MTLS を有効化し、op.WithMTLSProxy(...) で proxy からの証明書ヘッダを構成すれば mTLS 送信者バインディングに切り替わります。FAPI 2.0 §3.1.4 は「DPoP または mTLS」を要求しますが、FAPI クライアントは /token クライアント認証には引き続き private_key_jwt を使います。
トークンとローテーション
リフレッシュトークンのリトライで invalid_grant が返る — 既に通信中だったのに
ローテーション後の 猶予期間(grace period) に守られているケースです。既定は 60 秒です。ローテーションのネットワーク往復が落ちても、猶予期間内に前のリフレッシュトークンを提示すれば、新しいアクセストークンを返します(再ローテーションは発生しません)。期間を過ぎたか、再利用検知で chain が失効しているケースでは invalid_grant になります。
期間を調整したいとき
FAPI 以外の profile では、op.WithRefreshGracePeriod(90 * time.Second) で延長できます。profile.FAPI2Baseline または profile.FAPI2MessageSigning では、0 秒から 60 秒まで(60 秒を含む)の明示設定が許容され、60 秒を超える値だけが拒否されます。op.WithRefreshGracePeriod(0) で猶予期間を完全に無効化(厳密な single-use)にできます。負値はオプション側で拒否されます。詳細は 設計判断 §2。
リフレッシュトークンが返ってこないのはなぜ?
既定では次の 2 つ両方 が必要です。
- 付与された scope に
openidが含まれている。 - クライアントの
GrantTypesにrefresh_tokenが含まれている。
どちらかが欠けると、トークンエンドポイントは access_token + id_token を返して成功扱いとなり、refresh_token フィールドは付きません。OIDC Core 1.0 §11 の既定(lax)の解釈では、offline_access はリフレッシュトークン受領の必須条件では ありません — offline 用の TTL bucket を選び、同意・監査の表示を形づくる役割です。
offline_access を必須にしたい場合
OIDC Core 1.0 §11 は狭い解釈も許容しており、その場合は付与 scope に offline_access があるときだけリフレッシュトークンを発行します。「同意 UI が約束した範囲」と「監査ログに残る範囲」を初期状態から完全に一致させたいなら op.WithStrictOfflineAccess() で opt-in してください。ただしその際は、stay-signed-in を求める RP がすべて明示的に offline_access を要求する必要があります。詳細は 設計判断 §3。
「ログイン状態の維持」と通常セッションを TTL で分けたい
op.WithRefreshTokenOfflineTTL(...) で offline_access chain と通常ローテーションの TTL を分離できます。token.issued 監査イベントが extras.offline_access=true を出力するので、SOC ダッシュボードで chain を分けて可視化できます。
DPoP と送信者制約
DPoP nonce はなぜ必要? どう配るのが正解?
なぜ必要か。 RFC 9449 §8 で OP がサーバ供給 nonce を DPoP-Nonce レスポンスヘッダ経由でクライアントに渡し、事前生成された proof による攻撃を緩和できます。
どう配るか。 本ライブラリは in-memory のリファレンス実装と差し込み口を同梱しています:
src, err := op.NewInMemoryDPoPNonceSource(ctx, rotate) // demo グレード
if err != nil { /* 初期化エラー */ }
op.WithDPoPNonceSource(src)実装例は examples/51-dpop-nonce。
複数インスタンス構成
プロセスローカルな nonce ソースはレプリカを跨げません。HA 構成では共有ストア(Redis)を DPoPNonceSource の裏に置いてください。Redis nonce ソースをライブラリに同梱しないのは意図的です — オプション群(TTL、ローテーション周期、ローテーション境界の取りこぼし許容度)が運用ごとに違いすぎるためです。
dpop_signing_alg_values_supported に RS256 が含まれていないのはなぜ?
意図的です。DPoP の discovery リストは ES256, EdDSA, PS256 で、コードベース全体の JOSE 許可リストよりも狭くしています。この許可リストは OP が client assertion や JAR request object を検証するときの集合で、DPoP proof はそこから FAPI が推奨する部分集合に絞っています。なお RS256 は OP 側の署名アルゴリズムでもありません。OP が発行するトークンの署名は ES256 のみで、これは恒久的な方針であり、未実装の穴ではありません。
ストレージ
既存の users テーブルを置き換えないといけない?
いいえ。ライブラリは users テーブルを直接読み書きしません。op.Authenticator(または同梱の TOTP step を使う構成)と store.UserStore を既存スキーマに合わせて実装するだけです。OP は「このクレデンシャルは有効か」「この subject にはどんな claim があるか」を尋ねるだけで、それ以外で users テーブルに触ることはありません。
どのストレージアダプタを選べばいい?
| アダプタ | 想定 |
|---|---|
inmem | テスト、demo、単一プロセス開発 |
sql(SQLite / MySQL / Postgres) | 単一の永続バックエンド。最短で本番に乗せられる選択 |
redis(揮発サブストア専用) | composite で sql と組み合わせ、hot / cold を分離 |
composite | hot / cold 分離。TxClusterKinds は 1 つの比較可能な transactional バックエンドへまとめ、それ以外の Kind は分離可能 |
dynamodb | サブストアごとに 1 テーブルを使う永続バックエンド。store.Transactional によりブラウザ認可コードフローも動作する。API は Experimental。 |
SQL ストア、DynamoDB ストア、Hot / Cold 分離 を参照。
composite.New が起動時に設定を拒否するのはなぜ?
トランザクションクラスタの不変条件があるためです — トランザクション系サブストア(clients / codes / リフレッシュトークン / アクセストークン / IATs)は 同じ バックエンドを共有する必要があります。揮発スライス(sessions / DPoP nonce キャッシュ / JAR jti レジストリ)だけが別バックエンドに置けます。composite.New は構築時にこれを検証し、トランザクションを 2 つのストアに跨がせる設定を拒否します。
UI と SPA
SPA からログイン / 同意を扱うには?
import "github.com/libraz/go-oidc-provider/op/interaction"
op.WithInteractionDriver(interaction.JSONDriver{})JSON ドライバは、HTML ドライバが使う /interaction/{uid} と同じパスで各プロンプト(login / consent.scope / chooser ほか)を JSON として返します。SPA(React / Vue / Svelte / Angular / vanilla、フレームワーク不問)はそこからプロンプトを取得し、{state_ref, values} を X-CSRF-Token ヘッダ(prompt.csrf_token をそのまま返す double-submit cookie)と共に POST します。終端で返る {type:"redirect", location} エンベロープを window.location.href で辿れば完了です。
UI マウントオプション
op.WithSPAUI は SPA の入口と JSON の状態取得面を OP 側でマウントします。このモードでは SPA の入口は LoginMount/{uid}、プロンプト JSON は LoginMount/state/{uid} です。op.WithConsentUI / op.WithChooserUI は同意画面とアカウント選択画面を組み込み側 HTML テンプレートで描画します。SPA の配信を自前のルータで持ちたい場合は interaction.JSONDriver も使えます。この場合の状態取得エンドポイントは /interaction/{uid} です。詳細は SPA / 対話画面のカスタマイズ と カスタムアカウントチューザ UI を参照してください。
WithSPAUI と WithConsentUI は相互排他です。WithChooserUI は WithSPAUI と同時指定できますが、SPA モードでは chooser テンプレートは使われず、chooser の描画も SPA が受け持つことを示す警告が出ます。
SPA-safe なエラー描画
エラーページは CSP default-src 'none'; style-src 'unsafe-inline' の下で <div id="op-error" data-code="..." data-description="..."> を出力するので、SPA ホストは HTML を parse しなくても selector で取得できます。
CORS — SPA の origin を許可するには?
op.WithCORSOrigins("https://app.example.com")WithCORSOrigins を呼ばない場合、登録済み redirect URI から許可リストが自動導出されます。詳細は SPA 向け CORS。
API の CORS 許可リストが redirect URI の origin から導出される場合でも、それによって cross-origin の interaction や end-session ceremony が許可されるわけではありません。これらが受け付けるのは issuer origin と WithCORSOrigins に明示的に渡した origin だけで、ceremony origin は issuer と同じ site でなければなりません。実際には cross-site の origin でも preflight と CORS ヘッダまでは通りますが、ブラウザは __Host- ceremony cookie(__Host-oidc_interaction は SameSite=Lax、__Host-oidc_csrf と __Host-oidc_logout_csrf は SameSite=Strict)を送らないため、interaction と end-session のリクエストは 404 になります。ceremony UI は op.example.com に対する login.example.com のような issuer と同じ site の sibling host に配置してください。
ライブラリを fork せずに同意画面をカスタマイズできる?
可能です。主な経路は次の 3 つです。
- 同梱 HTML ドライバを残し、ロケール bundle で文言を上書き。
op.WithLocaleを使うと、seed のen/jabundle 上に変更したいキーだけを重ねられます — 同意画面の文言はこのキー単位の上書きでカバーできるので、ブランド・コピー差し替えはこちらで足ります。詳細は 使い方: i18n / ロケール解決。 op.WithConsentUIでテンプレートを差し替える。 OP は組み込み側の*html/template.TemplateをConsentTemplateDataで描画し、state / CSRF / 同意永続化は引き続き OP が担当します。詳細はexamples/11-custom-consent-ui。- JSON ドライバに切り替えて画面ごと自前で描画。
op.WithInteractionDriver(interaction.JSONDriver{})を渡すと同意プロンプトが JSON で返るので、自前のページ(または SPA)で描画できます。詳細は SPA / 対話画面のカスタマイズ。
認証と MFA
パスワード / TOTP / passkey の検証はどこにある?
ライブラリは op.PrimaryPassword、op.StepTOTP、op.RuleAlways などのビルディングブロックを提供します。これらを op.LoginFlow に組み合わせて、どの factor をどの順で実行するかを決めます。クレデンシャルストレージは store.UserPasswords() / store.TOTPs() などを組み込み側で実装します。完全カスタムな factor が必要なら op.Authenticator を実装してください。詳細は examples/20-mfa-totp 以降を参照してください。
Step-up 認証はどう実装する?
LoginFlow.Rules に op.RuleACR("urn:example:mfa", op.StepTOTP{...}) を追加します。認可リクエストの acr_values にその値が含まれると、指定した step を実行します。どの ACR 値でどの factor を求めるかはフロー側で決めます。これは認可リクエストの rule であり、RFC 9470 の resource server から authorization server への challenge ではありません。完全なフローは examples/23-step-up を参照してください。
リスクスコアが高いときだけ MFA を挟める?
RiskAssessor を設定し、LoginFlow.Rules に op.RuleRisk(op.RiskScoreHigh, op.StepTOTP{...}) のような rule を追加します。RiskOutcome.Score がしきい値を選び、rule の第2引数が実行する step です。詳細は examples/21-risk-based-mfa を参照してください。
ログアウト
Front-Channel Logout が無いのはなぜ?
モダンブラウザの既定(third-party cookie の段階廃止、SameSite=Lax 既定など)が、Front-Channel Logout 1.0 / Session Management 1.0 が要求する「iframe ベースのセッション通知」を実質的に動かなくしました。ライブラリは代わりに RP-Initiated Logout 1.0 + Back-Channel Logout 1.0 を提供しています。詳細は 設計判断 §5。
Back-Channel Logout の fan-out で一部の RP に届かない
/end_session handler は detached BCL coordinator を呼ぶ前に、OP session から subject を snapshot します。coordinator は GrantStore.ListClientIDsBySubject で grant 由来の audience を導出し、back-channel URI を登録した eligible な client を配信対象として解決します。したがって op.AuditBCLNoSessionsForSubject は、この session-bearing logout notice に対して grant 由来の eligible な RP target が 0 件に解決されたことを示すもので、session eviction を直接示すシグナルではありません。揮発性の SessionStore が handler の snapshot 前に session を失うと、logout trigger / snapshot 自体が失われ、fan-out(およびこの event)は開始されません。op.WithSessionDurabilityPosture は宣言された durability を記録し、SOC ダッシュボードがそのリスクを解釈できるようにするものです。詳細は 設計判断 §10。
ネイティブアプリとループバック
CLI の 127.0.0.1:54312/cb 形式の redirect_uri が拒否された
既定の redirect-URI マッチはバイト完全一致(OAuth 2.1 / FAPI 2.0)です。ループバックのポートワイルドカード(RFC 8252 §7.3)は クライアント単位でオプトイン — 登録済みの redirect_uris にループバック URI を含めれば、scheme が http、登録済 host がループバック形(127.0.0.1 / ::1、登録側オプトインがある場合は文字列 localhost)、要求側 host が登録 host と一致し、path / query / fragment が完全一致のときに限り、ポート不一致を許容します。文字列 localhost の受理は登録時オプトイン(web クライアントは op.WithAllowLocalhostLoopback()、native クライアントは application_type=native)が前提です。literal IP のみの厳格な構えを保ちたいデプロイは、両方のオプトインを外したままにしておけば従来どおりの挙動になります。詳細は 設計判断 §4。
観測性
op.WithPrometheus(...) を設定したのに /metrics が無い
ライブラリは /metrics を マウントしません。op.WithPrometheus(reg) は OP が絞り込んで保持するカウンタを、利用者が渡した registry に登録するだけです。
HTTP ルートのマウントはルータ側の責務です — トレーシング(外側で otelhttp.NewMiddleware をラップする)も、リクエスト所要時間ヒストグラム(外側でミドルウェアをラップする)も同じ分離方針です。OP は OIDC 業務系の カウンタ / スパン / 監査イベントのみを発行し、HTTP ライフサイクルの観測は組み込み側に委ねます。
詳細は examples/52-prometheus-metrics。
ライブラリはどんな監査イベントを出す?
op/audit.go 内の op.Audit* 定数で列挙された有限カタログです:
| カテゴリ | カバー範囲 |
|---|---|
login.* / mfa.* / step_up.* | ログインフローの factor 結果 |
code.* / token.* / refresh.* | code・トークンの発行 / refresh / revoke |
session.* / logout.* / bcl.* | session とログアウトのライフサイクル |
consent.* | 同意判断 |
dcr.* | Dynamic Client Registration |
device_authorization.* / device_code.* | RFC 8628 |
ciba.* | OIDC CIBA |
token_exchange.* | RFC 8693 |
client_authn.* / introspection.* | クライアント認証 / イントロスペクション |
account.* / federation.* / recovery.* | アカウント管理フィード |
rate_limit.* / pkce.* / redirect_uri.* / alg.* / cors.* / dpop.* / key.* | 防御シグナル |
各イベントは request-id / subject / client-id を必ず持ち、加えてカテゴリ別フィールドを持つ extras map を運びます。購読は op.WithAuditLogger(...)(*slog.Logger)経由で行い、構造化ログエントリとしてカタログ名と extras 属性が記録されます。
適合性とバージョン
OFCS 適合状況に PASSED だけでなく REVIEW も出るのはなぜ?
OFCS は複数の判定を記録し、素通しで合格といえるのは PASSED だけです。raw の FAILED は suite が期待結果を観測できなかったことを示し、strict verifier がレビュー済みかつ期限内の exclusion と照合できない限りリリースを止めます:
| 判定 | 意味 |
|---|---|
PASSED | テスト実行 / OP は仕様どおりに振る舞った |
REVIEW | テスト実行 / OP は正しく振る舞った — 人間が UI 成果物(描画されたエラーページのスクリーンショット等)を目視確認する必要がある |
FAILED | module が suite の期待結果に到達しなかった。レビュー済み・期限付き exclusion がなければ release を止める。 |
本ハーネスは REVIEW を自動 pass にせず、そのまま記録します。現在の release run と詳細な内訳は OFCS 適合状況 にまとめています。
「OIDF 認証取得済み」と称してよい?
不可です。本プロジェクトは OpenID Foundation の会員費を支払っておらず、公式認証も取得していません。OFCS のベースラインは仕様適合性の再現可能なスナップショットであって、認証ではありません。詳細は セキュリティ方針を参照してください。
バージョンを固定すべき?
固定してください。本番の依存は go.mod で固定し、更新前に CHANGELOG を読んでください。op.New と同梱ストレージアダプタだけの構成なら通常そのまま更新できます。独自のストアやその他の拡張を組み込んでいる場合は、現在の移行案内を確認してください。Experimental: マーカー付き API は通常のマイナーリリース例外です。
よくあるエラー
invalid_request: redirect_uri does not match a registered URI
redirect-URI 完全一致に引っかかっています。よくある原因 3 つ:
- 末尾スラッシュのドリフト(
/cbと/cb/)。 - 既定ポートが片側だけ含まれる(
https://rp.example.com:443/cbとhttps://rp.example.com/cb)。 - CLI / ネイティブアプリのループバックで、RFC 8252 §7.3 のオプトインをしていない(前述)。
invalid_client: alg not allowed
クライアントの request_object_signing_alg / token_endpoint_auth_signing_alg がコードベースの許可リスト(RS256、PS256、ES256、EdDSA)に含まれていません。FAPI 2.0 plan ではクライアントを PS256(または ES256 / EdDSA)に絞り込んでください — FAPI 2.0 は RS256 を禁じています。
invalid_dpop_proof: jkt mismatch
DPoP proof の公開鍵 thumbprint(RFC 7638)が、アクセストークンにバインドされた cnf.jkt と一致しません。これは送信者バインディングが正しく機能している証拠で、proof が違う鍵で生成されたか、アクセストークンが別クライアント向けかのどちらかです。
/par 成功後に invalid_request_uri が返る
認可コード発行後に /oidc/auth?request_uri=… へ再度アクセスしています。request_uri はコード発行時点で one-time として消費されます(RFC 9126 §2.2、詳細は 設計判断 §1)。/par をやり直して新しい URI を発行してください。
採用判断
本番で使ってよい?
RP・OP・ユーザをすべて自社で管理する内部用途であれば、十分に選択肢に入ります。第三者による監査証跡や公式認証が出荷条件にあるなら、本ライブラリは選ばないでください。判断の前に セキュリティ方針、とくに「ここに 無い もの」の節を読んでください。
セキュリティ問題はどう報告する?
GitHub Security Advisories からプライベートに報告してください。完全なポリシーは 脆弱性報告ガイド を参照してください。